この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
先生、早く縛って
第28章 夢の途中
あの日、俺の馬鹿な勘違いのせいで俺のもとを離れてしまった凛。
そしてただがむしゃらに夢を追い求めてしまった……
俺は怖気づいて迎えにも行かず、そんなことが起きていることにも気付けずに……。
「……殺してやる」
生まれて初めて俺の心にわき上がった感情だった。
その社長とやらを……いや、自分自身を?
あの気丈な凛がそんなことをさせられるなんて……どれほど言葉巧みに、どれほど酷いやり方で凛のことを絡め取っていったのか。そしてそれは凛だけではなく幾人もの、志を持った少女たちを食い物にしたのだ。
人の夢に乗じて、自分の利益のために徹底的にしゃぶり尽くすその邪悪さに、俺は吐き気を憶えた。
赦せる訳がない……! 凛の死との因果関係が認められなければ、そいつは……すぐに出所してのうのうと暮らしていくのだろう。
俺はいつの間にか跪き、拳を握りしめたまま地面を見つめ続けていた。