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先生、早く縛って
第28章 夢の途中
すると……背中に石塚の手の平を感じた。
「そんなこと凛は望んでねえよ……」
その、温かいというよりも熱いぐらいの手の平が俺を少しだけ溶かすのを感じる。
しかし……俺の心は深く冷たい海の底へ沈んでいくのを止められなかった。
今ならヴィオラを失ったダンテス卿の気持ちが痛いほど分かる。生きてはいけないほどの悲しみを……
そして愛する者を失っても尚、自身の性癖は変えられないということにも気付いていた。俺は勝手に凛をヴィオラに重ねた。凛とヴィオラは根本的に違っていたというのに。
自分にこのような性癖がなければ、凛は死ぬことも無かったのだ。
俺はもう〝愛奴隷〟を探すのを止めようと思った。
もう二度と愛など求めない。
愛奴とは、ただの言葉だ……実際には存在しないのだ。