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先生、早く縛って
第29章 つなぐ想い
あ……私、緊張して……今まで店員さんの顔すら見ていなかった。
「ハイ……」そう言って深呼吸すると、「すぐに石塚を呼んできますね」と彼女はすぐにお店の奥に消えた。
「お帰りなさいませ、お嬢様! 本日はありがとうございます!」
活気ある店内でも一際大きな声でそう言いながら石塚さんが近づいて来て、私の足もとに王子様みたいにおおげさに跪く。
後ろから着いて来ていた春菜さんがすかさず
「いつからそういうお店になったんですか?」
とちょっとクールにツッコミを入れて……私は思わず声を上げて笑っていた。
日に透けてキラキラ輝く金髪と、その笑顔が周りまで華やかにして……大きすぎる声がちょっと浮いてはいたけど、やっぱり素敵な人だなぁと思う。
あぁ、なんか……石塚さんにときめいたりは絶対しないんだけど、でも……久しぶりに会えて、うれしくて……胸がいっぱいで涙が出そうだ。