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先生、早く縛って
第30章 カラダが憶えてる

校門に入り、里美ちゃんがクラブで仲の良い友達と会って話し始めたその時……

「まあるい顔が良く見えるようになってお似合いなんじゃない?」

と耳元で囁く人がいた。
顔を見なくても分かる……沙也加ちゃんだ。

約束は守っているのに、ことある毎に意地悪をする沙也加ちゃん。
誰にも聞かれないようにこっそり耳打ちすると、あっという間に校舎の中に消えて行った。

沙也加ちゃんもまだ先生のことが好きなのかな……
意地悪をされるのは嫌だったけど、なんか少しその気持ちが分かるっていうか……沙也加ちゃんも可哀想かもしれないなんて私はぼんやり考えた。

例えどんな関係でも、好きな人のそばに居られた時間は……あんなにもかけがえが無くて、そして儚く消えてしまうものだったんだ。

先生もそんな風に……失ってしまった凛さんのことを今も考えているんだろうか。

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