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第31章 「愛奴隷」

授業をエスケープした二人に教師として対応しなければいけないという思いよりも、その関係について考えが及んでしまう自分は……なんて情けない男になったのだろうか。

別れてからのここ四ヶ月ほどは、廊下や教室で結衣を見掛ける度に……ざわつく心を悟られないように最新の注意を払っていた。そもそも生徒と交際すること自体、以前の自分では考えられない。

そしてそれ以上に、もう振られてしまったというのにこれ程までに引きずって……自分で考えていた〝自分らしさ〟のなんと頼りないことかと……改めて俺は思い知らされていた。

今朝も、登校途中の結衣を見掛けた。
髪を切って、大人っぽく美しくなった結衣。もう触れることは叶わないのか。
そして結衣はもう先に進もうとしているのに……俺は。

いつの間に、なぜこんなにも結衣に惹かれるようになったのだろうか。
そして俺はいつからまたこんな風に人を愛せるようになったのだろう。凛以外の女性を……