この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
先生、早く縛って
第33章 歪んだ世界

でも……改めて店内を見渡すと、お座敷までのテーブル席には5、6人の男の人たちがみんな通路にはみ出すようにして足を大きく広げて座っている。
間を通って行くのは怖かったけど……しっかりしないと。ここまで来て逃げている場合じゃない……
先生のために。
ちゃんと写真を確認したかった私はビクビクしながら歩き始めた。
歩き出すと、男の人たちはみんなニヤニヤ笑って……上から下までじろじろ見ている。
こ、怖い……
自然と足が止まり、戻ろうかどうしようかと迷っていると……さっきのピアスの人が低い声で静かに言った。
「おい、お前ら……通れねえだろうが。それにじろじろ見るんじゃねえよ……」
「すんません藤川さんっ」
藤川さん……あの人がこの〝ふじかわ〟の家の人なのかな。この中で一番怖い人なのか……その一言でこの場の空気がピーンと張り詰めたようになって、もうニヤニヤしている人はいなくなった。

