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先生、早く縛って
第34章 それはただの傷痕
見ると、もう一人女性が何も身に着けていない状態でテーブルの上に倒れている。柏木……だ。やはりこいつが絡んでいたのか……
しかし彼女の身にも不測の事態が起きてしまったのか、結衣よりも深刻な状況のように見え……そんな柏木を、石塚がコートで包み抱きかかえようとしていた。
「石塚……行けるか?」
そう確認しながら、再び結衣に視線を戻し抱き上げようとすると、結衣はピクリとも動いていなくて……俺は心臓が止まりそうになった。
結衣を失う訳にはいかない……!
もう間違いを起こしたらいけないんだ。結衣だけは……結衣だけは……
「結衣っ! しっかりしろ……!」
急いで脈や呼吸を調べると、ただ意識を失っているようにも見えるが油断はできない。
と、その時……倒れたままの藤川が急に笑い出した。顔のあちこちに着けられたピアスが揺れている。