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先生、早く縛って
第34章 それはただの傷痕
拳が痺れるように痛い……
でもこんな痛み、結衣が受けた仕打ちに比べたら……
凛の受けた仕打ちに比べたら……
「――おい! 一海! やり過ぎだ! 一海!」
ふと我に返ると……ピアスが千切れ、殴られた部分も赤黒く変色した藤川が……血の付いた俺の拳の下で震えていた。
「石塚、悪い……出るぞ」
結衣を抱き上げると、二人で店を飛び出した。女性を抱えた男ニ人が寒空のもとを全速力で駆け抜ける。
まだ20時を過ぎたあたりだと思うが、付近には車通りはあっても人影は少なくその点は有難かった。
そして俺は、近くに停められていた俺の車で柏木を病院へ連れて行ってもらうことにした。柏木は完全に意識を失くしていて外傷も見受けられたからだ……
車を見送ると、そこへ息を切らせた神谷がやって来た。