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先生、早く縛って
第34章 それはただの傷痕
「先生、結衣は……結衣はどうしたんですか……」
神谷の視線は、俺の腕の中でぐったりした結衣に真っ直ぐに注がれている。
神谷に連絡をしたのは俺だった。
今日、仕事から戻った後……結衣に連絡を取ろうと決心して電話を掛けたが、話中で電話に出なかった。今思えば、結衣が〝ふじかわ〟に向かう途中に石塚と話していたタイミングだったのだろう。
そして俺が一旦電話を切ると、石塚からすぐに着信があった。
〝学校の近くの居酒屋〟
情報はそれだけだった。
俺は最近の結衣の状況に詳しいであろう神谷に電話をし、柏木との不穏なやり取りのことを初めて知った。そして、呼び出しに使われそうな居酒屋を知らないかと尋ねたのだ。
俺は必死だった。もとはと言えば俺のせいで危険な目に……