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先生、早く縛って
第35章 大人の階段
沙也加ちゃんがしたことを伏せておいてもいいかということは、石塚さんが私に訊きにきてくれて……私もそれでいいと言った。
心を閉ざす沙也加ちゃんを、ただただ心配しているお母さん……その話を聞くと、ほとんど何も言わないで見守ってくれている私のお父さんとお母さんも、本当はすごく心配しているのかなぁ……なんて思う。
でも沙也加ちゃんも私も、事件のことはいつか自分で話せるようになったら話せばいいんだよって石塚さんは言ってくれていて……私もそうだなって思っていた。
階段を上がり始めた私をお母さんが呼び止める。
「あなたは、えっと……ごめんなさい、私あの子のお友達のことあまり……仲良くしてもらっていたのかしら」
「あ、いえ……遊びに行ったりはしたことなかったです」
「今は起きていると思うわ。なかなか部屋に入れてくれないからよくわからないんだけど……本当に石塚さんに頼りっきりで」
寂しそうなその様子を見て、私はお父さんとお母さんをなるべく早く安心させてあげたいなと思った。