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先生、早く縛って
第35章 大人の階段
「用もないのに毎日毎日来て……来るなって言ってるのがわからないの?!」
沙也加ちゃんは感情的になっていた。でも……
「二人きりで話してごらん」
石塚さんは一言だけ残し、煙草の箱を振りながらベランダに出て行ってしまった。ガラガラガラ……と窓が閉められて、沙也加ちゃんと二人きりになってしまう。
二人きりになり、改めて沙也加ちゃんを見ると……その腕にはまだ少し包帯が残っていた。
大きな外傷はなかったと聞いているけど……
「沙也加ちゃんそれ……まだケガが……?」
「……取れないの」
どういうことだろう……
でももう一ヶ月も経つのに、その痛々しい様子に私はまた言葉が出なくなった。
そして長い長い沈黙の後、先に口を開いたのは沙也加ちゃんだった。