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先生、早く縛って
第37章 重なる想い
「おいっ、待て!! リヨンに直行便はないはずだが……トランジットするのか?! それともTGVで……」
「えっ……!」
何がサプライズだよ。
絶句しやがって……お前の方が驚いてるじゃないか。
「おい、もしもし?!」
「えっと……パリ行きの便に乗ったけど……お前って……お前って……パリにいるんじゃないんだっけ……」
声が段々小さくなっていく。
「リヨンだよ! 全く、お前が着いていながら……」
「だって、フランスって言えばふつうパリだろぉ?!」
俺は無言で電話を切った。
俺の住んでいるアパルトマンの最寄駅はリヨンだったが、駅までは一時間以上バスに乗り、さらに乗り換えの待ち時間などを含めるとパリのシャルル・ド・ゴール空港までは通常4時間ほどかかる。俺はバスの始発を待って、やっとのことでTGVに乗り込んだ。