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先生、早く縛って
第37章 重なる想い

「あぁ、ここは原作者のサン=テグジュペリが生まれた町なんだよ。近くには有名な銅像もあるし、空港にもその名前がついている」

そう説明してやると、結衣は俺の顔を見てクスクスと笑っている。

「王子様って言ったら……石塚さんが先生のこと変態王子とか鬼畜王子とかって……うふふふ……」

俺にとってはそんな符合は嬉しいものではない。まったく石塚の奴は余計なことばかり……

そうため息をつきながら案内所の隣にある土産物屋に目をやると、俺の視界に、ある人形の姿が飛び込んで来た。

それは操り人形だった。
と言ってもよく見る糸で操るマリオネットではない。それは大きな指人形のようだった。顔は木製だろうか……大きな瞳で、その笑顔をこちらに向けている。

そうか……リヨンがギニョールという人形の発祥の地だということは聞きかじっていたが、渡仏してまだ一週間の俺は実際にその人形を目にしたことがなかったのだ。

実際に目にしてみて、俺の中であの〝愛奴隷〟のサイトのマリオネットとギニョールの姿が重なり合う。

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