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先生、早く縛って
第37章 重なる想い
あの本の舞台となった町ははっきりとは分からないが、登場人物の名前からいってフランスである可能性は高いと思う。この辺りは南仏と言えるが、ダンテス卿の治める寒い土地というのはもしかしたらアルプスの麓というのも考えられる。
あのサイトの運営者もそんな思いからあのマリオネットが指を操るトップページをデザインしたのかもしれない……そんな偶然に、俺の胸は熱く震えていた。
「先生……どうしたんですか?」
ギニョールに見とれてしまっていた俺を見て、結衣が不思議そうな顔をしている。
そうだ。結衣に〝愛奴隷〟のことを詳しく教えてやる約束をしていた。あの希少な本のことを……
「……以前、影響を受けた小説があると話をしただろう? 実はあの本を俺は未だに入手は出来ていないんだ……もう手に入れることは叶わないとさえ思っている。そしてその本を紹介しているあるサイトに、これとよく似た操り人形が出ていることに今気付いたんだ」
そう説明してやると結衣は「あっ! 忘れてた!」と大きな声を上げた。
「〝愛奴隷〟ですよね?! そうそう、渡さなくっちゃ」