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先生、早く縛って
第38章 先生、早く縛って
それにしても先生は何でこんな田舎の町を知ってたんだろう……?
そう思った時、バッタンバッタンと大きな音が聞こえて来た。何の音……?
目の前にあるのは周りのものよりもさらに古そうな煉瓦造りの大きな建物で……壁を緑の蔦で覆われた素敵な外観だったけど、音はその中から途切れることなく響いていた。
「機織り機の音だよ。大きいだろう? ここは絹織物のアトリエ……工房なんだ」
そう言いながら、先生は裏手にある一回り小さな二階建ての建物に向って歩いていく。
機織り機ってこんなに大きい音がするんだ……
「リヨンは昔から絹織物が盛んで、日本の西陣織の機織り機ももとはと言えばフランスのものなんだよ」
「え~っ! 意外……」
「手動の機織り機を扱える人は、リヨンでももう10人もいないんだ。機械が故障しても、自分で直して使うしかない。俺は一度アトリエで働いてみたくて、ここを選んだんだ」