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秘蜜に濡れて
第12章 曖昧な予感
「こんなところで立ち話もなんだから…ランチは済んだ?」
「まだです」
「近くに旨いパスタの店があるんだ、どうかな?」
「はい…」
嘉紀が運転する車に乗り込み10分程走って着いたのは一流ホテルのレストランだった。
「あ、あの、私、平服で…」
嘉紀はスーツを着ている。
「ランチだから、そんなに賢まらなくていいよ」
ウェイターに案内され、個室に通される。
「ランチコースを2つ」
メニューも開けず嘉紀はそう伝えた。
「撥春とは…上手くやってるみたいだね」
「は、はい」
「そう構えないで、とって食おうって訳じゃない、ただ」
顔を上げるあいり。
「聞きたいことがあるんだ」
前菜とスープが運ばれて来ると嘉紀は食事を促した。
「聞きたいことって…何ですか?」
「君の、角膜提供者のことだ、角膜移植の手術は…いつ?」
「四年前です」
「…提供者は?」
「三十代の女性としか…」
ふぅと息を吐き、嘉紀は寂しげに微笑んだ。
「君の角膜を提供したのは、僕の恋人だった加藤 奈帆だ」
フォークを持つ手が空で止まった。
「まだです」
「近くに旨いパスタの店があるんだ、どうかな?」
「はい…」
嘉紀が運転する車に乗り込み10分程走って着いたのは一流ホテルのレストランだった。
「あ、あの、私、平服で…」
嘉紀はスーツを着ている。
「ランチだから、そんなに賢まらなくていいよ」
ウェイターに案内され、個室に通される。
「ランチコースを2つ」
メニューも開けず嘉紀はそう伝えた。
「撥春とは…上手くやってるみたいだね」
「は、はい」
「そう構えないで、とって食おうって訳じゃない、ただ」
顔を上げるあいり。
「聞きたいことがあるんだ」
前菜とスープが運ばれて来ると嘉紀は食事を促した。
「聞きたいことって…何ですか?」
「君の、角膜提供者のことだ、角膜移植の手術は…いつ?」
「四年前です」
「…提供者は?」
「三十代の女性としか…」
ふぅと息を吐き、嘉紀は寂しげに微笑んだ。
「君の角膜を提供したのは、僕の恋人だった加藤 奈帆だ」
フォークを持つ手が空で止まった。