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秘蜜に濡れて
第18章 deep inside
すっかり日が落ち薄暗くなった見慣れた道に竜のSUVが停まる。

灯の点いたあいりの家の玄関は目と鼻の先にあった。

「お世話になりました」

ペコッと頭を下げるあいり。

「明日から仕事行けそう?まだなら岩崎さんに…」

「大丈夫です」

本人が言い切ればそれ以上口出すこともなかった。

「…無理するなよ?」

頷くあいり。

「…撥春に…「あいり?」

車を追い越してきた人影が口を開いた。

「お兄ちゃん」

竜は視線だけを声の方へ向けた。

スーツを着込んだ男が一人。

「誰?」

「あの…えっと…」

口籠るあいりに、竜は車を降りた。

「初めまして、秋月 竜といいます」

「秋月、さん?どういう関係?」

「仕事で…今度私の担当する企業さんの…」

心苦しい言い訳に兄と呼ばれた男は竜を見定める様に見つめた。

「…何処かで…ああっ!秋月 竜って9secondの?!」

あれよあれよと竜は引き込まれ、あいりの自宅のリビングへ通されていた。

「あいり、もう大丈夫なの?心配したわよ、あんな連絡貰って…」

ダイニングではあいりの母親があいりを心配していた。

岩崎さんの根回しで、家族には急な出張が入り、出張先で転んで頭を打った為に念のため入院していた事になっていた。
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