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秘蜜に濡れて
第19章 想傷の真下
お昼まで後10分、あいりは雪夜に呼び出され、第二会議室へと向かっていた。
重厚な木製の扉をゆっくり開けると、そこには律が座っていた。
「ああ来た来た、では私はこれで失礼致します、来週の撮影、宜しくお願いします」
「はい、宜しくお願いします」
頭を下げて雪夜が出て行くと、あいりは律へと向き直った。
「元気、そうね」
「…はい、あの…その節はご迷惑お掛けしました」
「迷惑…?」
律は思い出したように眉を顰めた。
「落ち着いた、から仕事してるの?」
「落ち着いたというより…記憶が…なくて…」
焦点の合わない瞳でベッドに組み敷かれていたあいりを律は思い出す。
「…撥春には連絡したの?」
きゅっと唇を結んだあいりに、律は小さく溜息を吐いた。
「…ど、うやって…さよならを…言えばいいのか…分からなくて…」
「別れるの?あんな程度で?」
「私、にはっ…あんな、程度じゃ…」
悍ましい記憶だけが思い出され、あの手で触れらた身体で撥春を汚したくない。
「今、ここで電話して別れるって言えばいいのよ」
律はあくまで冷静に突き放す。
重厚な木製の扉をゆっくり開けると、そこには律が座っていた。
「ああ来た来た、では私はこれで失礼致します、来週の撮影、宜しくお願いします」
「はい、宜しくお願いします」
頭を下げて雪夜が出て行くと、あいりは律へと向き直った。
「元気、そうね」
「…はい、あの…その節はご迷惑お掛けしました」
「迷惑…?」
律は思い出したように眉を顰めた。
「落ち着いた、から仕事してるの?」
「落ち着いたというより…記憶が…なくて…」
焦点の合わない瞳でベッドに組み敷かれていたあいりを律は思い出す。
「…撥春には連絡したの?」
きゅっと唇を結んだあいりに、律は小さく溜息を吐いた。
「…ど、うやって…さよならを…言えばいいのか…分からなくて…」
「別れるの?あんな程度で?」
「私、にはっ…あんな、程度じゃ…」
悍ましい記憶だけが思い出され、あの手で触れらた身体で撥春を汚したくない。
「今、ここで電話して別れるって言えばいいのよ」
律はあくまで冷静に突き放す。