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秘蜜に濡れて
第21章 儚いダイヤモンド
「…そういうイミじゃねーよ、誰よりもお前を信頼してるって事!」

あーと声を上げて、隣に座る。

竜はスマホをしまってニッと笑った。

「前さ、岩崎さんに言ったじゃん、俺以外の奴と歌う気にはならないって…あれさ…結構ヤバかった」

頬杖をつきながら告白すれば、少しは照れ隠しになるだろうか。

「ホントの事だから、このメンバーじゃなきゃ此処まで来れなかったし、此れからも何処も行けない、違うか?」

「先が見えないのに、あのメンバーとなら恐くないんだよな」

「ああ」

「撥春、ごめん」

竜のそれに何が含まれているのか、撥春には計り知る事は出来ない。

けれど、知らなくていい。

知らなくてもいい、竜ならば。

ニヤッと笑って立ち上がると、撥春はシャンパンを激しく振った。

「撥春?マジ…?」

栓を抜くと、シャンパンは吹き上がった。

「バカっお前っ!」

騒ぐ二人に何事かとメンバーが駆け付ける。

キラキラと辺りに散らばるシャンパンの煌めき。

「おっ、フロントのシャンパンファイト?」

悪ふざけの大好きなメンバーは黙っていない。

次々にシャンパンが降り注ぐと、その向こうには無邪気に笑う撥春と竜。

大事にし過ぎてはいけない。

今この時は一瞬かもしれないから。



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