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秘蜜に濡れて
第23章 一雫の秘蜜
ぐしゃぐしゃのシーツを掻き集めて、いつの間にか眠っていた。

喉の渇きに目を覚ますと、すっかり夜の帳の中だった。

「っ!」

床に足を着いて立ち上がると、まだ中に撥春のが埋まっているような感覚に陥った。

肩越しに振り向いたベットの上には撥春の安らかな寝顔。

思わず微笑みが零れてしまう。

コップに満たした水は喉を通ると身体中に染み渡った。

リビングに散らばった服を洗濯機に放り込んで、再びベッドに戻った。

ギシッとベッドに潜り込むと、撥春は寝ぼけ眼で手探りであいりを求める。

「撥春さん」

「ん…何処にも行くなって…言った…ろ…?」

膝とお尻を着いて座ったあいりの膝に顔を乗せて、その腰に手を回した。

「ずっと傍にいます」

それに安心したように撥春の回された腕から力が抜けると、代わりに規則正しい寝息に変わった。




二人は並んで事務所の来賓室に座っていた。

「そうか、挨拶は済ませたのか」

嘉紀と正宗はそう報告を受けていた。

「9secondとしては今来ている波を掴まないわけにはいかない、暫く多忙を極めるが、そこは理解して辛抱して欲しい」

正宗がそう告げると、あいりは頷いた。

「逃げられないようにしないとな」

嘉紀が口の端だけで笑った。


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