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秘蜜に濡れて
第23章 一雫の秘蜜
静かな部屋は主がいないことを暗に知らせた。

あいりはお風呂の湯を張り、キッチンに立つと簡単に食事を用意して、お風呂へ向かった。

撥春のシャワージェルを使ってその香りを吸い込むと隅々まで満たされた。

「あれ…?」

持ち込んだはずのルームウエアは無くなっていて、代わりにショップバックが置いてあった。

中を覗くとぼっと顔が赤くなるのが分かった。

ドアの向こうで待ち構えているのも容易く想像出来る。

あいりは観念してそれを手にした。

「ただいま」

リビングではソファーに身体を預けている撥春がドアの開く音に振り向いていた。

「おいで」

意地悪な笑みを浮かべて手招きしている。

あいりは口を尖らせて精一杯の抵抗を見せた。

だが、そんなものは撥春には効かない。

あいりは裾を引っ張りながら部屋に入った。

「可愛い!」

真っ白な真綿のようなランジェリー。

前に里美たちに持たされたのとは真逆の厭らしさを醸し出す。

「服は…?」

「前に買ってきたら着てくれるって言ったよね?」

「そ、んなこと…」

脳裏の隅っこに確かにそんな記憶が鎮座していた。

「と、言うことで」

撥春はあいりを膝に乗せると髪を撫でながら耳朶を擽った。

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