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秘蜜に濡れて
第5章 purple line
撥春の横顔が汗で濡れていたのを見た気がする。

それが最後。

意識を手放したあいりはそのまま深い眠りへと堕ちていった。





いつもの起きる時間を体が覚えていた。

あいりがゆっくりと目を開けると、裸の背中に体温を感じた。

身体を起こし、ゆっくりと振り向くと、そこには無防備に眠る撥春がいた。

目を閉じていても整った顔立ちが陰ることはない。

睫毛の長さまでわかる距離に、思わず笑みを零す。

「…何笑ってるの?」

ぱちっとその目が開く。

驚きの余り言葉にならない。

「身体…痛くない…?」

それが何を意味するのかわかったあいりは頬を染める。

「…だいじょ、ぶ…です…」

「早起きだね、まだ夜じゃない?」

撥春が指差した窓の向こう、カーテンの隙間には青に赤が混ざった綺麗な空が朝を連れてきていた。

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