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秘蜜に濡れて
第1章 今宵、星が零れたら。
「今度…「将人、ナナがあっちでまってるよぉ?」
言い掛けた台詞を遮るのは胸元露わなドレスに身を包んだ女の子二人。
同じように啓介の腕にも女の子が絡み付き、強引にその場から引き離していく。
大変そうだな、なんて他人事みたくそれを見送った。
氷が溶けて薄くなったジントニックのグラスを置いて、出入り口へと向かった。
エレベーターホールの隅にあるスツールに座って、慣れない高いヒールを脱ぐと踵が擦れて赤くなっていた。
エレベーターホールにある時計は22時を回っている。
里美とニコルはもちろん、圭吾すら戻ってくる様子はない。
帰ろっかな。
「帰るの?」
心の声が漏れたのかと反射的に顔を上げると、勢いでイヤリングが外れ、丁度扉の開いたエレベーターの前に転がっていった。
降りて来た人がイヤリングを拾い上げる。
「遅かったじゃん」
知り合いだろうか、あいりは二人を見比べた。
ふんわりとした髪と優しい眼差し、悪戯に笑う姿は大人なのに子供の様だった。
イヤリングを拾ってくれたその人は、すっきりとした黒髪と切れ長の瞳、少し恐そうな出で立ちだった。
イヤリングを差し出したその人と視線が交わると、その瞳は驚いているように見えた。
「押したの?仕事」
「ああ」
甘い声に胸がきゅっと締まった。
ちらりと見上げるとその人はあいりをまだ見つめていたらしい。
「ごめんなさい…」
目が合ってしまった事に、謝罪しながら視線を外す。
何故かわからない鼓動の速さに居た堪れなくなる。
靴を履くのも忘れて立ち上がった。
言い掛けた台詞を遮るのは胸元露わなドレスに身を包んだ女の子二人。
同じように啓介の腕にも女の子が絡み付き、強引にその場から引き離していく。
大変そうだな、なんて他人事みたくそれを見送った。
氷が溶けて薄くなったジントニックのグラスを置いて、出入り口へと向かった。
エレベーターホールの隅にあるスツールに座って、慣れない高いヒールを脱ぐと踵が擦れて赤くなっていた。
エレベーターホールにある時計は22時を回っている。
里美とニコルはもちろん、圭吾すら戻ってくる様子はない。
帰ろっかな。
「帰るの?」
心の声が漏れたのかと反射的に顔を上げると、勢いでイヤリングが外れ、丁度扉の開いたエレベーターの前に転がっていった。
降りて来た人がイヤリングを拾い上げる。
「遅かったじゃん」
知り合いだろうか、あいりは二人を見比べた。
ふんわりとした髪と優しい眼差し、悪戯に笑う姿は大人なのに子供の様だった。
イヤリングを拾ってくれたその人は、すっきりとした黒髪と切れ長の瞳、少し恐そうな出で立ちだった。
イヤリングを差し出したその人と視線が交わると、その瞳は驚いているように見えた。
「押したの?仕事」
「ああ」
甘い声に胸がきゅっと締まった。
ちらりと見上げるとその人はあいりをまだ見つめていたらしい。
「ごめんなさい…」
目が合ってしまった事に、謝罪しながら視線を外す。
何故かわからない鼓動の速さに居た堪れなくなる。
靴を履くのも忘れて立ち上がった。