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秘蜜に濡れて
第9章 BLIND
出来上がった今度のツアー衣装に袖を通す。

美紅が全員の細かい手直しをアシスタントに指示していく。

「美紅、今日、博嗣さんは?」

「今日は力尽きて欠席」

ツアー衣装を全面的に任せているデザイナーの博嗣。

美紅を連れてきたのも博嗣だった。

「博嗣さんにお願いしたいものがあったんだけどな…メールしとくか」

「今日は仕事、これで終わり?」

「俺はね」

「…良かったら、ご飯でも行かない?」

「あー…ごめん、彼女に誤解されたくないんだ」

美紅は目を丸くした。

今までの撥春なら、断る理由に彼女は持ち出さなかった。

「今度の彼女は、そんなに可愛いんだ?」

「まあね」

美紅の嫌味にも満面の笑みで答える撥春。

ボタンを外す美紅の手が震えていた。

「美紅は、彼氏いらないの?」

「…時間、ないから…」

「そっか、頑張ってるもんな」

頭をぽんぽんと叩かれて、美紅は下を向いて唇を噛んだ。
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