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崩された家庭
第6章 身体が疼く朝
「俺、今日出張だからあんまり無理しないようにしないと

母さんにでもきてもらう?」

「大丈夫だって言ってるじゃない!!」

普段大きな声を出したりしない愛の様子に戸惑う正哉

「愛…」

「ごめんなさい…気をつかって言ってくれてるのは解ってる

お、お母様もお仕事あるし。私なら平気ですから…」

私なら平気…私っていつからこんなに可愛げがなくなっちゃったのかしら?

正哉はいつでも仕事でいなくて、家のことも、内装のことや家具選び、金融関係のことも全部やったし…仕事だから私がやらなきゃって頑張ってきたし

そんなことしてたら甘えたり、頼ったりするのが申し訳なく思えてた

会社での辛いことも話せないし、話す時間もとれなくて
一人で悩んでどうしたらいいのか考えあぐねてる

私がそんなふうに悩んでた時

正哉は何をしてたんだろう?

そんな時…自分の母親と情事を重ねてたんだろうか?

…頭の中が不意にそんな考えでいっぱいになった


――ポタポタポタッ――

何か落ちたと思って手の甲をみたら

濡れていた

正哉が驚いて近寄ってきた

「愛、どうしたの?」

「え?」

顔を覗きこまれた

ここで始めて自分が涙を流してたのがわかった

「愛?」

愛は思わず正哉に抱きついた

正哉は何も言わずに抱きついた愛が

…もしかしたら悩みがあって言えないでいるのかもしれないと…思いがよぎった

正哉は愛が可愛らしく、愛しく思えて優しく抱き締めた
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