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カノジョ
第8章 あんなカノジョ《再々》
 
「うっしっ!」

 寝起きの開口一番、気合いを入れた杏子。

 昨夜の事など忘れているかのように振る舞い、ベッドから飛び降りる。

「今日も良い天気だなぁ」

 シャーッとカーテンを開け放ち、黒いタンクトップに黒いショーツだけの姿で仁王立ち。

 射し込む明るさに目を細めながら、暫く景色を眺めていた。

 近所には緑も多く、人も疎らな早朝の景色は杏子のお気に入りだった。

「…まだ、こんな時間かぁ………」

 カジノに通う前までは当然のように起きていた時間。

 出勤までかなりの余裕があった。

 余り寝ていないにも拘わらず、朝から杏子の動きは機敏だった。

「久しぶりだけど…大丈夫だよなぁ………」

 窓に背を向けて、腕を交差した指先でタンクトップの裾を掴む。

 その儘腕を上げればプロポーションの良い上半身が露わとなり、ショーツ一枚だけの姿になった杏子は準備を始めたのだった。


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