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カノジョ
第2章 あんなカノジョ
声がした方へと歩み寄った杏子の口調は、学校で使っている男勝りのモノ。
彼女は客としてではなく、従業員としてこのカジノに居たのだった。
聖職者と謳われる教師が、非合法のカジノであられもない姿でのアルバイト。
罪悪感が不意に訪れる事があっても、ストレスの解消を求めた杏子は、その背徳感に身を委ねていた。
「ちょっと待ってなぁ」
従業員とは思えない口調で話す事に教師の立場を思い出し、背徳感が杏子の感情を昂ぶらせていく。
「ほら、ここ…玉詰まっちゃってさぁ」
ふんぞり返る小太りの男が指差す先には、一玉一万円もするパチンコ台。
「あぁ…これねぇ」
台を見て、幾つもの玉が釘に挟まっている状況。
「全く…いつも詰まるんだよなぁ……どうなってんだよ」
男の前でカラダを伸ばしてガラス面を開け、玉詰まりを処理する杏子に不満を洩らす男。
しかし、その表情はニヤニヤと薄笑いを浮かべていた。
「いつも悪いねぇ…。態とじゃないからさぁ」
伸ばしたカラダに男の視線を感じながらも、杏子は顔を熱くさせていた。
…やっぱり……ジロジロと……