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カノジョ
第1章 こんなカノジョ
「…小遣い稼ぎにはなるかと思ったんだけどなぁ……」
画面の片隅には、コンテストと賞金十万円の文字。
「何で…文才無いって分かってるのに、応募しちゃったんだろ………」
勢いだけで行動した事を悔やみ始める始末。
自分の思う展開に進まないばかりか、場面に相応しい言葉さえ浮かばない事に辟易していた。
「…これは……しか……ないよねぇ………」
カノジョは思い詰めた表情で、徐に立ち上がった。
「ちょっと出掛けてくるぅっ」
ショートパンツを着替え、部屋を出たカノジョはアニメ声で言い放つと、脇目も振らずに玄関へと向かう。
「あらぁ…。一体何処に……って真希ちゃんっ!?」
聞こえたアニメ声に顔を覗かせた母親の驚く声に、カノジョ・真希は立ち止まる事も無く、玄関を飛び出していった。
「あららぁ………」
バタンッと閉じた扉の前で、左手の指先を顎に当てて佇む母親の呆れ声。
「…真希ちゃん………あんな恰好で……慌てて何処に行ったのかしらぁ………」
当然の事ながら、母親の声は歩みを進める真希に届く事は無かった。
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