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カノジョ
第4章 こんなカノジョ《再》
 
 更に手摺を強く握っていた。

 クチをキュッと結んで、眉を寄せて声を押し殺していた。

 影人じゃない男に触られて、気持ち良くなんかなる筈が無い。

 ましてや、電車の中で痴漢の手なんかに、えっちなスイッチなんて入る筈が無い。

 撫で回す感触に耐えながら、顔を伏せた儘で視線を上げる。

 相変わらず、早い速度で流れる景色。

 一向に駅に着く気配も無く、たまに通過する駅が流れていくだけだった。


…もう…いい加減に……


 脳裏に影人の顔を思い浮かべる。

「…ん…んぅぅ……」

 それなのに、痴漢の手が邪魔をする。

 そればかりか脳を刺激して、真希のえっちなスイッチを入れようとしてくる。

 意識しちゃいけないと思えば思うほど、撫でられる感覚が強くなる。

「んふぅ…ふぅ……」

 無意識に鼻息が荒くなる。

 不意に強い刺激を覚えれば、カラダが‘ビクッ’と震えて鼻が鳴る。

 脇から‘バサッ’と新聞を広げる音にも過剰に反応する。

 そんな真希の反応を愉しんでいるかの様に、痴漢の手はムチムチの太腿を撫で回していた。


…もぅ…ホントに……何時ま………


「んうっ!?」
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