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鈴(REI)~その先にあるものは~
第1章 序章~萌黄の風~
「やれ」
 男がまるで猟犬をけしかけるように無造作に声を発した。それを合図とするかのように、後方の男が進み出て、いきなりお香代に飛びかかった。
 突然のなりゆきに、お香代の唇から悲鳴が上がる。見も知らぬ男に突如として襲いかかられ、その場に押し倒された。
 弾みで、お香代の大切に抱えていた駕籠が転がり、中の苺が辺りに散らばる。
 愕き、精一杯の抵抗を試みようとしても、所詮は非力な女の力では何にもならない。
 男は物凄い力でお香代の両腕を持ち上げた格好で押さえ込んだ。
 あのハ虫類のような眼をした男が近付いてくる。お香代は恐怖のあまり、気が狂いそうだった。
「いやーっ」
 ありったけの力を振り絞り、両腕を縫い止めた男の手を振り切って、拘束から逃れた。
「獲物は大人しく手なずけられるよりも、少々暴れる方が馴らし甲斐がある」
 男は怒る風でもなく、むしろ愉しげに言い、お香代の手を掴んだ。片手でグイと引き寄せられた途端、もう一方の手が帯にかかる。
 男は一見優男に見えるが、その力はたいしたものだった。片手で楽々とお香代の動き一切を封じ込み、空いた方の手だけで慣れた手つきで帯を解いている。お香代の身体はまるで独楽のようにくるくると男の手によって自在に操られ、回された。
 帯飾りとして帯につけていた鈴まで無惨に引きちぎられ、放り投げられる。祖父が幼い頃、買い求めてくれた鈴を、お香代は形見として肌身離さず大切に持っている。紅い紐のついた鈴はチリリと音を立てて地面に転がった。
 帯がすべて解かれ、腰紐も同様にいともあっさりと解かれ、肌襦袢一枚きりになったお香代を男はその場に再び押し倒す。
「何をするのですか、私は柳井道場の主柳井小五郎影綱の妻、良人の兄は藩から馬廻り役を仰せつかる相田久磨にございますぞ。白昼から、私にこのようなご無体なふるまいをなされば、良人がただではあい済ましませんでしょう」
 お香代は内心は恐怖に震えながらも、精一杯毅然として言ったつもりだった。
 こんな卑劣な輩には、弱味を見せてはいけいないと、父幹之進がよく言っていた。
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