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鈴(REI)~その先にあるものは~
第5章 永遠の別離~無窮~
その時、ハッとした。
この鬼の着ている小袖には確かに見憶えがあった。薄い紅地に白く小さな梅の花が散っていたこの柄は―、そう、今年のまだ春浅い頃、森で出逢い、近習の尾野晋三郎と二人がかりで手込めにした女の着ていたものと全く同じものだ。
「ゆ、許してくれ。止めてくれ。許してくれ。俺が悪かった。俺が悪かったと、このとおり謝る。だから、もう止めてくれ。許してくれ。俺をこれ以上苦しめないでくれ」
嘉利は震えながら、その場に這いつくばった。
と、ひとたびは小さくなっていた鈴の音が再び大きくなった。
チリーン。
チリリーン。
まるで死人を悼むかのような物哀しい音色が嘉利の脳天に響く。たまらない不快感に、嘉利は頭を押さえ、もんどりうった。
これは罰だ。あの女の、森で晋三郎と二人で手込めにした女の呪いだ。
そう思った時、耳奥で女の声が響いた。
―そう、それはまさしく天罰。罪なきあまたの生命を無益に殺し、泣き叫ぶ娘たちを犯し辱めた愚かなそなたへの報い!!
声とともに、けたたましい女の嗤い声が聞こえる。その嗤い声はやがて幾つもの鈴の音と重なり、嘉利の頭にガンガンと響き渡った。
烈しい頭痛が嘉利を襲う。
嘉利は息も絶えるような苦悶に呻き、その場を転がり回った。
この鬼の着ている小袖には確かに見憶えがあった。薄い紅地に白く小さな梅の花が散っていたこの柄は―、そう、今年のまだ春浅い頃、森で出逢い、近習の尾野晋三郎と二人がかりで手込めにした女の着ていたものと全く同じものだ。
「ゆ、許してくれ。止めてくれ。許してくれ。俺が悪かった。俺が悪かったと、このとおり謝る。だから、もう止めてくれ。許してくれ。俺をこれ以上苦しめないでくれ」
嘉利は震えながら、その場に這いつくばった。
と、ひとたびは小さくなっていた鈴の音が再び大きくなった。
チリーン。
チリリーン。
まるで死人を悼むかのような物哀しい音色が嘉利の脳天に響く。たまらない不快感に、嘉利は頭を押さえ、もんどりうった。
これは罰だ。あの女の、森で晋三郎と二人で手込めにした女の呪いだ。
そう思った時、耳奥で女の声が響いた。
―そう、それはまさしく天罰。罪なきあまたの生命を無益に殺し、泣き叫ぶ娘たちを犯し辱めた愚かなそなたへの報い!!
声とともに、けたたましい女の嗤い声が聞こえる。その嗤い声はやがて幾つもの鈴の音と重なり、嘉利の頭にガンガンと響き渡った。
烈しい頭痛が嘉利を襲う。
嘉利は息も絶えるような苦悶に呻き、その場を転がり回った。