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鈴(REI)~その先にあるものは~
第1章 序章~萌黄の風~
 その後、更に二人がかりで陵辱され、結局、お香代は一刻余りにわたって数度、時間をおいて犯された。あるときは二人の男に同時に輪姦され、あるときは一人ずつによって交互に深々と挿し貫かれた。
 延々と慰みものにされた後、二人の男は一糸まとわぬままのお香代を置き去りにして、いずこへともなく馬で走り去った。
 お香代が緩慢な動作で身を起こしたのは、もう春の陽が傾き始めた頃のことだった。春めいてきたとはいえ、まだ如月の初めのこととて、夕刻になれば風も冷たい。
 冷たい風に向きだしの膚を嬲られ、お香代は身を震わせた。寒さと恐怖と絶望に歯を鳴らし、身を戦慄(わなな)かせながら、ようよう立ち上がる。はぎ取られた着物や、襦袢、腰紐や帯が辺りに散乱している。今日、着ていたのは淡い紅色に小さな梅の花が散ったお気に入りの着物だった。それらを身につけ、歩き出そうとした途端、身体の節々―殊に奥に鈍い痛みが走る。
 身体の表面にも擦り傷や切り傷、乳房や首筋には強く吸われた跡が赤い花びらのようになって残っていた。
 地面の上で全裸にされ、男たちに容赦なく責め立てられたのだ。全くあの二人のお香代に対する扱いには片々たりとも優しさどころか、情のかけらもなかった。ただいっときの獣じみた欲望と平素から積もった鬱屈のはけ口としてお香代を求めたにすぎない。嬲れるだけ嬲り尽くした後は、あたかも使い捨ての玩具を投げ捨てるかのように、その場に放置していったのだ―。まだしも遊女屋で女郎を買う客の方が敵娼に対しては、いささかでもマシな扱いをするに違いない。
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