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鈴(REI)~その先にあるものは~
第3章 恋の始まり~辿逢(たどりあう)~
 そして、その跡を継いだ道場主柳井小五郎は、まだ二十一歳の若さながらも多くの門弟たちから〝若先生〟と慕われ、剣の腕、その誠実な曇りのない人柄はかつての幹之進に勝るとも劣らぬとさえ囁かれていた。たくさんの門弟を抱え、多くの名だたる剣豪を輩出した柳井道場が何ゆえ、こうも突然に閉鎖を余儀なくされたのか。その理由については依然として知る者はなかった。
 柳井幹之進の死は惜しまれたものの、跡を継いだ新道場主の養子小五郎は名門道場を率いる新しい道場主として誰もが認めるところであった。幹之進が道場主であった頃から通っていた古株の門弟たちも変わらず小五郎に師としての礼を誓い、通ってきたという。
 小五郎を新しい道場主として柳井道場はますます繁栄、隆盛の一途を辿るばかりであったというのに、一体、若い道場主の心境に何の変化が起こったのか。
 小五郎はある日突然、兄である師範代相田久磨にさえ何も告げず、道場から姿を消してしまったのである。小五郎ほどの男が理由もなく責任ある道場主という立場を放り出し、出奔するはずがない。彼をよく知る門弟たちは怒るどころか、逆にそのゆく方をいたく案じていた。そんなところにも、小五郎の日頃からの人となりがよく表れている。彼がいかに門弟たちからの信頼を得ていたか知れるというものだ。
 この度、御前試合の決勝戦に進んだのはこの猛者揃いで知られる柳井道場でも五本の指に入ると謳われた高弟門屋陣右衛門であった。今年、二十八になる。
 更に対するのは、柳井亀之助というまだ若い青年、いや、その華奢な肢体やすんなりとした手脚は、まだ少年と呼ぶに相応しいものだ。柳井姓を名乗るからには、いずれあの伝説の剣聖柳井幹之進にゆかりの者かと、誰もが眼を皿のようにして試合のなりゆきに注目している。
 つややかな黒髪を頭頂部で高く一つに括り、上品な紅梅色の麻の葉模様の小袖、紫の袴を身につけたその姿は凛々しく可憐でさえあった。
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