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鈴(REI)~その先にあるものは~
第3章 恋の始まり~辿逢(たどりあう)~
傍らの頼母が眉をひそめた。
―哀れな生命知らずの小娘が。あの殿に、こうも正面向かって堂々と説教するとは。ここまで殿を愚弄したとあれば、最早生命はあるまいて。
頼母の脳裡をちらりとそんな想いがよぎる。
「俺に生命の尊さを説くとは、そなたこそ根っからの阿呆か気狂いとしか思えぬな」
嘉利が呆れたような顔で少女を眺めた。
「晋三郎。この不届き者は、牢にでもぶち込んでおけ」
「よろしいのでござりますか。仮にも殿のお生命を狙った曲者にございますぞ。このまま生かしておいては後々、禍根を残すことにはなりますまいか」
頼母が問うと、嘉利が嗤った。
「それを申せば、仮にも御前試合の優勝者をこの場で即座に殺すわけには参らぬであろう。とりあえずは追って沙汰するまで、牢にでも入れておけば良い」
と、嘉利にしては至極まともなことを言い、頼母を愕かせた。
「それに、この娘、実に面白い。これまで俺にここまで申した奴はそなたも含めて、誰一人としていなかったからな。その無謀さが義侠心に駆られた勇気と申すものか、それとも、はたまた、ただの怖いもの知らずの愚かさか。俺は大いに興味がある。ただの愚かなだけの娘ならば、すぐに殺してしまえば良いだけのことだ」
冷え冷えとしたまなざしには、嘉利の酷薄な性格がまさによく表れていた。
―哀れな生命知らずの小娘が。あの殿に、こうも正面向かって堂々と説教するとは。ここまで殿を愚弄したとあれば、最早生命はあるまいて。
頼母の脳裡をちらりとそんな想いがよぎる。
「俺に生命の尊さを説くとは、そなたこそ根っからの阿呆か気狂いとしか思えぬな」
嘉利が呆れたような顔で少女を眺めた。
「晋三郎。この不届き者は、牢にでもぶち込んでおけ」
「よろしいのでござりますか。仮にも殿のお生命を狙った曲者にございますぞ。このまま生かしておいては後々、禍根を残すことにはなりますまいか」
頼母が問うと、嘉利が嗤った。
「それを申せば、仮にも御前試合の優勝者をこの場で即座に殺すわけには参らぬであろう。とりあえずは追って沙汰するまで、牢にでも入れておけば良い」
と、嘉利にしては至極まともなことを言い、頼母を愕かせた。
「それに、この娘、実に面白い。これまで俺にここまで申した奴はそなたも含めて、誰一人としていなかったからな。その無謀さが義侠心に駆られた勇気と申すものか、それとも、はたまた、ただの怖いもの知らずの愚かさか。俺は大いに興味がある。ただの愚かなだけの娘ならば、すぐに殺してしまえば良いだけのことだ」
冷え冷えとしたまなざしには、嘉利の酷薄な性格がまさによく表れていた。