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鈴(REI)~その先にあるものは~
第3章 恋の始まり~辿逢(たどりあう)~
 チリチリ、チリチリリン。
―お香代ちゃんッ、助けて! 私、いやなの。こんな男の慰みものになんて、なりたくない。
 お香代には唯一許された死すら、自分には望めない。この卑劣な男に、もし自分が生命を絶てば、大切な人たちを惨殺すると脅されたのだ。もとより、お亀の両親は亡くなっている。しかし、父親の跡を継いで村長となっている従兄やその妻子、お香代の良人小五郎の存在もある。
 そんな人たちの生命までをも楯に取られれば、お亀には逆らうすべもないのだ。
 お亀は亡き親友に心の中で助けを求めながら、懸命に鈴を振り続けた。
 その時、お亀に覆い被さっていた嘉利が苛立った声で叫んだ。
「ええいッ、煩い」
 それでもなお、お亀が鈴を振ろうとすると、嘉利が甲走った声で怒鳴った。
「何だ、煩い」
 嘉利がお亀の手から有無を言わさず鈴を取り上げる。
「あ、返して」
 お亀は手を伸ばして取り返そうとしたけれど、嘉利が舌打ちをきかせた。
「この鈴は、あの女が帯飾りにしていたものではないか。ええい、薄気味の悪い。死んだ女の持っていた鈴を何ゆえ、そなたが持っているのだ」
 〝こんなもの〟と、嘉利が取り上げた鈴を放り投げた。鈴はチリリと音を立てて、畳に転がる。
「返して、返して下さい。あれは、お香代ちゃんの形見の鈴なのに。返して、返してよ」
 お亀が身を起こそうとすると、嘉利にすぐに押し戻された。
「何をするのっ、いやっ」
 お亀は泣きながら暴れた。
「全っく、往生際の悪い女だ」
 嘉利が笑うと、お亀の身体を軽々と抱き上げた。
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