この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
鈴(REI)~その先にあるものは~
第4章 露草~呼応~
「それは、そちの買いかぶり過ぎだ。そちの伯父柳井幹之進は〝剣聖〟とまで謳われている伝説の剣豪ではないか。俺は、柳井幹之進のように、生きながら伝説と化したような男は他に知らぬ。―もっとも、情け知らずの冷酷な藩主として俺の悪名も相当、轟いているようだと、そなたはやはり、あの時申したがな」
 確かに、そんなことも言った。
 悪びれた様子もなく淡々と言う嘉利を、お亀は窺うように見る。
「そなたの伯父と俺が仮に一対一で勝負したとて、俺が返り討ちに遭うのが関の山だ」
 嘉利は自らを卑下した風でもなく応え、お亀を見た。
「そちの伯父は、どのような男であった?」
 お亀はしばらく思案した後、慎重に言葉を選びながら応えた。
「私の伯父は常々申しておりました。剣は人を殺すためにはあらず、我が生命を守り、人を活かすための活人剣だと」
「―俺とは反対の剣技だな」
 しばらく沈黙が落ち、やがて、嘉利が呟いた。
「だが、俺はそなたの伯父に逢うて、直接教えを受けてみたかった。もし、そなたの伯父が俺の指南役であれば、俺もその人を活かす剣とやらを学び、身につけることができたやもしれぬ」
「殿のご指南役は、どなたにございましたか」
 あれほどの剣技を伝授したからには、指南役も相当の遣い手であったに違いない。幾ら嘉利自身に才能があったとしても、それを最大限に引き出すのは指南役の役目だからだ。
 お亀がふと興味を引かれて訊ねると、嘉利はポツリと洩らした。
「俺の指南役はおらぬ。強いて申せば、俺は父に剣を教わった」
「ご先代さまが殿のご指南役でおわされましたか。それは、お羨ましいことにございます。私の父は小さな村の村長で、百姓にございましたゆえ。剣の道なぞ教わることなどできっこありませんでした」
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ