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鈴(REI)~その先にあるものは~
第4章 露草~呼応~
 私のこの想いは、一体何なのだろう。
 憎しみだけでもなく、愛しさでもなく、愛でも恋でもない。むろん、友情というのでもない。
 そう、敢えて名を付けるとすれば、長い間離れていた大切な人、家族に漸くめぐり逢えたような、そんな気持ち。たとえは悪いかもしれないけれど、出来の悪い、寂しがり屋の兄に妹が抱(いだ)くような、そんな気持ち。
 だから、お亀は嘉利を放っておくことができない。助けてくれ、放さないでくれと差しのばされた手を振り払うことができないのだ。
「俺から逃げないでくれ」
 落ちてきた切ない呟きに、お亀はそっと頷くしかなかった―。
 寄り添い合う二人の脚許では、可憐な露草がひっそりと可愛らしい花を咲かせていた。
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