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鈴(REI)~その先にあるものは~
第5章 永遠の別離~無窮~
嘉利の逞しい身体を抱きしめながら、お亀は心の中で呟く。
―それで良いの。あなたは、私を許さないでいて。愛してもいないくせに、あなたに抱かれて身もだえていた私を淫乱で恥知らずな女だと思いきり罵ってくれれば良い。そして、あなたが私を殺せば、あなたの苦しみは終わるでしょう。あなたの孤独は私がいなくなっても、ずっと続いてゆくかもしれないけれど、少なくとも、私という人間がいなくなれば、裏切り者はあなたの眼の前から消える。だから、お願い。もし、私があなたにこの気持ちを告げたなら、あなたは私を殺してね。それで、あなたの気が少しでも楽になるのなら。私はそれで良い。私のためならば、人を斬ることを止めるとまで言ってくれるあなたに、私は応えることができない。そこまで言ってくれても、私は永遠に、あなたに愛しているとは言えない。たとえこの身を八つ裂きにされたとしても。
―私は・あなたを・本当の意味で・裏切りたくはないから―。
だから、愛を返せない自分は、男の手にかかって最後の瞬間を迎えるのがいちばんふさわしい。
口づけが再び深くなってゆく。
お亀は、もう一度、烈しい怒濤の中へ、二人だけの濃密な時間へと身を投じていった。
―それで良いの。あなたは、私を許さないでいて。愛してもいないくせに、あなたに抱かれて身もだえていた私を淫乱で恥知らずな女だと思いきり罵ってくれれば良い。そして、あなたが私を殺せば、あなたの苦しみは終わるでしょう。あなたの孤独は私がいなくなっても、ずっと続いてゆくかもしれないけれど、少なくとも、私という人間がいなくなれば、裏切り者はあなたの眼の前から消える。だから、お願い。もし、私があなたにこの気持ちを告げたなら、あなたは私を殺してね。それで、あなたの気が少しでも楽になるのなら。私はそれで良い。私のためならば、人を斬ることを止めるとまで言ってくれるあなたに、私は応えることができない。そこまで言ってくれても、私は永遠に、あなたに愛しているとは言えない。たとえこの身を八つ裂きにされたとしても。
―私は・あなたを・本当の意味で・裏切りたくはないから―。
だから、愛を返せない自分は、男の手にかかって最後の瞬間を迎えるのがいちばんふさわしい。
口づけが再び深くなってゆく。
お亀は、もう一度、烈しい怒濤の中へ、二人だけの濃密な時間へと身を投じていった。