この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
鈴(REI)~その先にあるものは~
第5章 永遠の別離~無窮~
「―」
「それは、どういうことだ」
 固い声、強ばった顔。
 お亀は、その孤独の影をいっそう濃くした嘉利の顔を切なく見つめた。
「殿にあれほどまでにお情けをかけて頂きながら、私は―」
 言いかけたお亀の言葉を嘉利が途中で遮った。
「いや、待て。もう、何も申すな。それ以上、言うでない。その続きを聞けば、俺はそなたを殺さねばならなくなる。俺は藤乃、そなたをこの手にかけたくはないのだ。判るであろう、俺はそなたに惚れている。幾ら畜生公と怖れられている俺でも、惚れた女は殺せぬ」
 お亀は、ゆるりと首を振った。
「それゆえ、是非ともお聞き頂かねばなりませぬ。殿、どうか、私にお暇を下さりませ。これまで数ならぬ身にお優しさを賜り、心より感謝申し上げまする」
「それでは、まるで別れの科白のようではないか」
 嘉利の声が、かすかに震えた。
「―お別れにございます。殿」
 お亀の瞳が揺れた。
「教えてくれ。お亀、俺は、俺という人間は、そなたを不幸にしただけなのか。俺は、お前の身体をただ弄んだだけの、お前にとっては顔を見るのも厭な男なのか?」
 振り絞るような男の声に、お亀の眼に涙が溢れた。
「いいえ、殿。私は、殿という御方にお逢いできて、幸せにございました。最初の頃は殿をお憎しみしたことがないと申せば、それは嘘になりましょう。さりながら、お側でお仕えする中に、殿のお優しさに触れることも叶いましてございます。私にとって、殿は大切なお方となりました」
「それなら、何故、そなたは俺の許を去る? 大切な存在になったと言いながら、何ゆえ、そなたは俺の傍からいなくなるのだ?」
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ