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夢を見るころ
第6章 こ
「何?嫉妬っ・・・?」
「嫉妬だろ?」

そう言うと前髪をかきあげて、メガネの位置を直して
こっちに歩いて来る。

「止めてよ。こないでよ」
「病人相手にずいぶんだな」

そうだ。篠塚さん風邪・・・

「病人が女の子連れ込んでるじゃない」
「だから。俺の話聞いてた?ハンコを今日中に押さないと決算が終わらないんだって」
「篠塚さんバカ?あの子がそれだけの理由で来てると思ってるの?」

その言葉を聞くと、歩くのをやめて
じっとわたしを見つめる。

「あの子が何をたくらんでいるのか知ってるよ」
「ほらっ!」

そして困ったように笑った。

「でも、俺がその気にならないんだから何もないよ。今後一切ね」
「・・・・」

「夢。何を慌ててるの?
何を怖がってるの?俺は夢だけが好きだよ。
俺に本気じゃないのは夢の方だろ?」

「・・・・」

本気じゃないのは・・・私の方?

「違う。違うの」
「何が違うんだよ。
俺は夢に電話するなと言われたから電話してない。
まぁ、それ以前に昨日から体調が悪くて携帯の充電もしてないから
電源が切れてるだろうけど」

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