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きみに鎖を
第5章 ーーーーー
あの男にバレない程度に動けること。それが大前提だった。つまりこの屋敷の人にバレないようにしなくてはならない。おや、大変厳しいな?と思いつつも、ひとまず掃除からとりかかる。
拭き掃除、これに限る。なにせ道具がないから、自分のバスローブを使うしかないのだ。元々そこまで汚れているわけではないので、本当に自己満足の範囲内になりそうだった。
それでも、なにかやらなければ。その一心だった。
幸いこの部屋にはレナがいる限り誰も入ってこない。たぶん主人からそう命令されているのだと思う。ありがたく思いながら、チマチマと窓枠や家具のちょっとした溝や段差を拭いていく。
(ああ、なんか久しぶりだなこの感じ。自分の手でやるって最高だ)
自分が拭いたあとの綺麗な家具を見ると、満足感で満たされる感じがひさしぶりにした。食事やお昼寝を挟みつつちまちまと拭き、満足し、男の相手をして寝る。そんな数日を過ごした。
会話は相変わらず男とだけだったけれど、レナには十分な変化だった。