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第1章 希望は鳴る

　鍵の音が、聞こえる。
　
　どーしようもないくらいまともじゃなくて、
　きっと努力したって普通の人が普通に生きれるレベルには達することができないんだろうけど、
　でも、今より少しでもまともになれるなら、人に顔向けして生きれるようになるなら、私もそうなりたい。
　そうなりたいと思う。
　っていうか、思った。
　龍を見て。

　名前を呼ぶと、陰気な顔が振り向いた。
　龍の鳴らす鍵の音。
　
　それは、希望の音だったのかも知れない。








【おしまい】