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Love adventure
第22章 答えはないのに

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ほなみは二ヶ月半以上振りに訪れた会社の中庭を歩いていた。外から事務所の様子を伺うと、どうやら来客はないようだった。
総務の東野(ひがしの)カナが、眠たそうに欠伸をするのを目撃し、思わず笑ってしまう。
カナは口を手で押さえながらこちらを見ると、事務所のドアを開けて駆け寄って来た。
「仁科さ――ん!」
「カナちゃん元気そうだね」
「久しぶりじゃないですか――仁科さん!あ、つい、旧姓で呼んじゃう……」
「いいのよ。忙しい時に来ちゃったかな?大丈夫?」
「全然大丈夫です。今日は課長も次長も大阪で泊まりがけで会議です。事務所は皆だらーんとしてますよ。うふふ。
お客様が来る予定もないし。
あっ、こちらへ座って下さい!お茶持ってきます!あれっ?お土産ですか?そんなあ悪いですよう……んんっ?その包みは……ぴっ!『PEACH』じゃないですかああっ!いや――ん嬉しいっ!
お茶じゃなくて、コーヒー淹れましょうかっ!……皆呼んできます!芽衣(めい)!
伊藤(いとう)くーん!仁科さんが来てるわよ?!」
カナはロビーの応接間のソファーにほなみを通し、スキップし茶色い巻き毛を揺らしながら給湯室に行ってしまった。
ーー相変わらず元気ね。
コツコツと、ガラスを叩く音がして振り向くと、思いがけない人物が外に居るのに「あっ」と声を上げた。
中庭の手入れをしていたのだろう。
庭ハサミにバケツを持ち、作業服の袖を捲り帽子を被っていた。
人の良さが滲み出ている目尻の皺は昔から変わらない。
「中野さん!」
ほなみはソファーから立ち上がる。
中野は手袋を脱いで、ロビーに入って来た。
ほなみは二ヶ月半以上振りに訪れた会社の中庭を歩いていた。外から事務所の様子を伺うと、どうやら来客はないようだった。
総務の東野(ひがしの)カナが、眠たそうに欠伸をするのを目撃し、思わず笑ってしまう。
カナは口を手で押さえながらこちらを見ると、事務所のドアを開けて駆け寄って来た。
「仁科さ――ん!」
「カナちゃん元気そうだね」
「久しぶりじゃないですか――仁科さん!あ、つい、旧姓で呼んじゃう……」
「いいのよ。忙しい時に来ちゃったかな?大丈夫?」
「全然大丈夫です。今日は課長も次長も大阪で泊まりがけで会議です。事務所は皆だらーんとしてますよ。うふふ。
お客様が来る予定もないし。
あっ、こちらへ座って下さい!お茶持ってきます!あれっ?お土産ですか?そんなあ悪いですよう……んんっ?その包みは……ぴっ!『PEACH』じゃないですかああっ!いや――ん嬉しいっ!
お茶じゃなくて、コーヒー淹れましょうかっ!……皆呼んできます!芽衣(めい)!
伊藤(いとう)くーん!仁科さんが来てるわよ?!」
カナはロビーの応接間のソファーにほなみを通し、スキップし茶色い巻き毛を揺らしながら給湯室に行ってしまった。
ーー相変わらず元気ね。
コツコツと、ガラスを叩く音がして振り向くと、思いがけない人物が外に居るのに「あっ」と声を上げた。
中庭の手入れをしていたのだろう。
庭ハサミにバケツを持ち、作業服の袖を捲り帽子を被っていた。
人の良さが滲み出ている目尻の皺は昔から変わらない。
「中野さん!」
ほなみはソファーから立ち上がる。
中野は手袋を脱いで、ロビーに入って来た。

