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Love adventure
第22章 答えはないのに
「明けましておめでとう!ハッピーバレンタイン!ハッピープロポーズ記念日!……なーんて、まとめてめでたい事を言ってみたよ?」

 中野は、丸い顔をくしゃっとさせて笑った。

「ご無沙汰しちゃってすいません」
「全然いいんだよ?……いや、便りの無いのは良い便りって言うからね?
 どう、智也君とは仲良くしてる?……彼も忙しいからねえ、寂しいでしょう」
「……」

 ほなみはつい、押し黙ってしまう。
 中野は、ニッコリ笑いほなみの頭を軽く撫でた。

「また何を悩んでるのかな?ほなみちゃんは昔から、一人で抱え込むからねえ」
「ううん、そんな事ないです……」

 無理して笑顔を作ったが、中野には通用しない。

「中学の頃、よくここの中庭の池を眺めて、泣いてたもんなあ。
 社長さんや奥さんも優しくほなみちゃんを迎え入れてたけど、やっぱり実のご両親とは違うし、色々と言えない事もあっただろうね。
 鯉によく話し掛けてたよね?」
「ええっ!聞かれてたんですかっ!」
「うん?まあ、何を話してるかまでは解らなかったけどね」
「やだ――!恥ずかしい!もうその話はしないで下さい!」

 ほなみは中野の背中をばしばし叩いた。

「えおうっ……年寄りはいたわってくれよ――老い先短いんだからさ……」
「大丈夫です!中野さんは百歳まで余裕で生きますから!」
「そうだなあ。ほなみちゃんの孫に会うまで長生きしなくちゃな!」

 中野は用務員で、ほなみが中学で智也の両親に引き取られてから、話し相手になってくれていた。
 智也の両親には心底腹を割って話しが出来るわけもなく、同級生の友達には悩み事を相談しようにも
「お金持ちな岸君の家に引き取られて、もうなんの心配もないじゃん。
 それに、あの格好いい岸君と一緒に暮らせるなんて、いいなあ!」と言われてしまうのだ。
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