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Love adventure
第23章 波瀾の予感
目を合わせていたのは僅か数秒間なのに、とてつもなく長いスローモーションのように感じた。
男は、長い足を優雅に動かし歩いて来る。彼が一歩踏み出す度に周囲の空気がまるで林檎の皮が捲れるかのように剥がれ落ちていくような錯覚をおぼえた。
彼は目の前で立ち止まり、上からほなみを見おろした。
「――お前が、岸ほなみか?」
彼の低い声は思いがけず魅惑的に、ほなみの鼓膜に張り付いた。
「え……?あ、あの」
ほなみが戸惑い口ごもるのを、男は冷たい目で見つめた。
「何?こいつ、ナンパ!?」
あぐりが二人の間に割って入り、ほなみを守る様に背中に隠すと、男は片眉を上げた。
「この子には手を出さないで!ほなみには、西君って言う爽やか王子様が居るんだからね――っ!
あんたみたいな、見るからに腹黒そうな奴の餌食にはさせないわよ――!」
「……うるさい女だな」
男は、口を歪ませると、ほなみとあぐりの腕を乱暴につかんだ。
「きゃあっ」
ほなみが小さく叫ぶと、男はニヤリとする。
その笑みに、何故か背中がゾクリとした。
「ちょ!あんた!何すんの!人さらいっ?……誰か!助けて!」
あぐりが暴れ、大きな声を出すと、男は素早く膝であぐりの腹を蹴る。
「ぐっ……」
あぐりは気を失い、男に軽々と抱えられた。
「な……なんて事するの!」
ほなみは男を睨んだが、冷たい瞳に見据えられ言葉が喉で凍り付いた。
男は、長い足を優雅に動かし歩いて来る。彼が一歩踏み出す度に周囲の空気がまるで林檎の皮が捲れるかのように剥がれ落ちていくような錯覚をおぼえた。
彼は目の前で立ち止まり、上からほなみを見おろした。
「――お前が、岸ほなみか?」
彼の低い声は思いがけず魅惑的に、ほなみの鼓膜に張り付いた。
「え……?あ、あの」
ほなみが戸惑い口ごもるのを、男は冷たい目で見つめた。
「何?こいつ、ナンパ!?」
あぐりが二人の間に割って入り、ほなみを守る様に背中に隠すと、男は片眉を上げた。
「この子には手を出さないで!ほなみには、西君って言う爽やか王子様が居るんだからね――っ!
あんたみたいな、見るからに腹黒そうな奴の餌食にはさせないわよ――!」
「……うるさい女だな」
男は、口を歪ませると、ほなみとあぐりの腕を乱暴につかんだ。
「きゃあっ」
ほなみが小さく叫ぶと、男はニヤリとする。
その笑みに、何故か背中がゾクリとした。
「ちょ!あんた!何すんの!人さらいっ?……誰か!助けて!」
あぐりが暴れ、大きな声を出すと、男は素早く膝であぐりの腹を蹴る。
「ぐっ……」
あぐりは気を失い、男に軽々と抱えられた。
「な……なんて事するの!」
ほなみは男を睨んだが、冷たい瞳に見据えられ言葉が喉で凍り付いた。