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Love adventure
第24章 あなたのもとへと①
綾波は、俯いてしまったほなみを一瞥し肩を竦めると、後部席で眠るあぐりの頬をパシパシ乱暴に叩いた。
「おい……着いたぞ。起きないか……」
「綾波さん……乱暴は止めてくださ……」
ほなみは、思わず彼の腕をつかんでしまうが、反対に手首を捩上げられた。
「……痛っ」
ほなみが痛みで顔を歪ませると、綾波は手を離して冷たく言った。
「後ろから近付くな。反射的に反撃するように癖がついてるんだよ。
祐樹の女に傷を付けるわけにいかない」
「私は西君の女じゃ……ありません」
ほなみは用心深く距離を取りながら、自分に言い聞かせるように呟いた。
綾波は、眠るあぐりを背負う。
「ああ、そうかもな。所詮、お前は岸智也の妻だし、祐樹とは単なる火遊びの関係に過ぎん」
「……!」
(――この男は、何故こんなにも、胸を抉る言葉ばかり浴びせてくるの……
でも、いちいち全部を受け止めていたら身が持たない……)
ほなみは、悔しさに唇を噛んだ。
「番号を覚えておけ」
綾波は目にも留まらぬ速い指の動きでロックを解除して自動ドアを開け、エントランスホールへと入り、エレベーターのスイッチを押した。
「あ、あの……番号を見逃しました」
綾波は突然、ほなみの耳に唇を寄せて囁いた。
「◇◇◇◇◇だ。覚えておけ」
「ひゃっ!」
擽ったさに飛びのき尻餅を付くほなみを、綾波はほんの一瞬笑った。
その表情が西本の笑顔と重なりドキリとしたが、一瞬で笑顔は消える。
彼は大きな手でほなみの腕をつかみ立たせ、忌ま忌ましい口調で呟いた。
「危なっかしい女だな。旦那に尻尾をつかまれないように用心しろよ」
エレベーターに乗り込み、上昇する階の数字が一番上まで達し、チンという音がしてスッとドアが開く。
「あの……智也のこと……」
「話す必要はない」
「でも……」
「これ以上祐樹にダメージを与えるな。バンドが復活するまで、お前はせいぜい上手くやってくれればいいんだ」
「……」
「余計な事を言うな。わかったか」
「でも私……」
ほなみが顔を上げ綾波を見た時、彼の底冷えする眼差しにゾッとして息を呑んだ。
「おい……着いたぞ。起きないか……」
「綾波さん……乱暴は止めてくださ……」
ほなみは、思わず彼の腕をつかんでしまうが、反対に手首を捩上げられた。
「……痛っ」
ほなみが痛みで顔を歪ませると、綾波は手を離して冷たく言った。
「後ろから近付くな。反射的に反撃するように癖がついてるんだよ。
祐樹の女に傷を付けるわけにいかない」
「私は西君の女じゃ……ありません」
ほなみは用心深く距離を取りながら、自分に言い聞かせるように呟いた。
綾波は、眠るあぐりを背負う。
「ああ、そうかもな。所詮、お前は岸智也の妻だし、祐樹とは単なる火遊びの関係に過ぎん」
「……!」
(――この男は、何故こんなにも、胸を抉る言葉ばかり浴びせてくるの……
でも、いちいち全部を受け止めていたら身が持たない……)
ほなみは、悔しさに唇を噛んだ。
「番号を覚えておけ」
綾波は目にも留まらぬ速い指の動きでロックを解除して自動ドアを開け、エントランスホールへと入り、エレベーターのスイッチを押した。
「あ、あの……番号を見逃しました」
綾波は突然、ほなみの耳に唇を寄せて囁いた。
「◇◇◇◇◇だ。覚えておけ」
「ひゃっ!」
擽ったさに飛びのき尻餅を付くほなみを、綾波はほんの一瞬笑った。
その表情が西本の笑顔と重なりドキリとしたが、一瞬で笑顔は消える。
彼は大きな手でほなみの腕をつかみ立たせ、忌ま忌ましい口調で呟いた。
「危なっかしい女だな。旦那に尻尾をつかまれないように用心しろよ」
エレベーターに乗り込み、上昇する階の数字が一番上まで達し、チンという音がしてスッとドアが開く。
「あの……智也のこと……」
「話す必要はない」
「でも……」
「これ以上祐樹にダメージを与えるな。バンドが復活するまで、お前はせいぜい上手くやってくれればいいんだ」
「……」
「余計な事を言うな。わかったか」
「でも私……」
ほなみが顔を上げ綾波を見た時、彼の底冷えする眼差しにゾッとして息を呑んだ。