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Love adventure
第24章 あなたのもとへと①
 綾波は、あぐりを背負ったまま長い右脚を素早く上げると、ほなみの側の壁を音を立て蹴り付けた。

「二度同じ言葉を言わせるな、言ったはずだ」

 物腰や雰囲気は全く違うのに、目元や輪郭が西本祐樹と似ている人に凄まれると、恐怖と同時に胸がざわついて仕方ない。
 ほなみは心臓が鳴っているのを悟られないよう、綾波の目を真っすぐ見た。

(言う事に従わなければ、西君の側に居る事も出来なくなるかも知れない……)

 長い時間、視線を合わせて居たような気がしたが多分十秒もなかっただろう。
 綾波は、唇を舌でペロリ、と舐めた。まるで肉食獣が獲物を見付けたの様に。

「その目……見ていると……泣かしてやりたくなるな」
「!?」

 ほなみが思わず構えた時、インターホンから聞き覚えのある高い声がした。

「綾ちゃん?……あっ!ほなみちゃん!ふたりとも、いつまでそこに突っ立てるのさ?早く中へ入っておいでよ!」
「三広君!」

 妙な緊張から解放されホッとする。
 三広がドアを開け、ほなみの手をつかむと満面の笑顔で中へ招き入れた。
 綾波は、あぐりをリビングのソファーに下ろす。

「三広。祐樹は?」

三広は、ほなみの手を握ったまま聞いていない様子だ。

「本当に来てくれたぁ!俺、嬉しいなあ……あ……えっと……祐樹が凄く喜ぶと思うよ?
 無理なお願い聞いてくれてありがとう!」
「う、うん」

 ジャンプしてはしゃぐ彼を見て、ほなみは思わずクスリと笑う。

「あっゴメン」

 三広は、顔を赤らめると、つかんでいたほなみの手首を離した。

「三広!祐樹は」

 綾波に聞かれ、三広は丸い目を少し陰らせる。

「相変わらず眠気を訴えてて、ベッドから起きて来ない。あんまり食べないし」

 心配で胸の中が一杯になり、ソワソワするほなみに、綾波は事務的な口調で話し始めた。

「この部屋は二つ寝室がある。一つは、吉岡あぐりが使え。お前は祐樹の寝室で毎晩休むんだ」

 ――西君と、一緒の部屋に……
 ほなみの身体じゅうが、ズクリと甘く疼いた。

「毎晩一緒――っ?そそそんなそんな……ぎゃああ」

 三広は顔を両手で塞いだ。





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