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Love adventure
第29章 初恋ーー幼い憧れ
(ああ、参ったな)と途方に暮れていたら、チャプンという水音が聞こえた。
女の子がワンピースの裾を托し上げて池に片足をつけようとしていたのだ。
「ねえ、危ないよ!」
声をかけたが、女の子は躊躇いなく池に入ってしまった。楽譜を拾い俺に向かって、
「拾ったよ!」と、手を振ってみせた。
俺は池の側まで走り寄り両手を差し出して女の子の手をつかみ、なんとか陸まで引っ張り上げた。
綺麗な色のワンピースは胸のあたりまでぐしゃぐしゃに濡れて台なしになってしまった。
女の子はワンピースを前にかき集めて手で絞っていた。その白い脚が目に入り、俺は慌てて後ろを向いた。
「ピアノ弾くんだね」
耳に、すんなりと入り込む不思議な声。
俺は、何故か腹の下辺りがムズムズした。
「……うん。君も弾くの?」
「弾くよ!私も今この曲練習してるんだ。素敵な曲だよね」
――ずっと聞いていたい様な声だ、と思った。何故なんだろう?初めて会った子なのに。
「素敵……なのかな」
「ピアノ嫌いなの?」
正面に回り込まれて聞かれギクリとした。
確かに、自分はそれ程ピアノが好きではなかった。
俺は曖昧に笑った。
「……君、変な顔してる」
女の子は、まじまじ俺を見つめて言った。
「えっ!?」
そんな事を言われたのは初めてだった。
内心ショックを感じながら、女の子を呆然と見つめた。
「――それはどういう意味」
訊ねようとすると、女の子は盛大なくしゃみをした。
女の子がワンピースの裾を托し上げて池に片足をつけようとしていたのだ。
「ねえ、危ないよ!」
声をかけたが、女の子は躊躇いなく池に入ってしまった。楽譜を拾い俺に向かって、
「拾ったよ!」と、手を振ってみせた。
俺は池の側まで走り寄り両手を差し出して女の子の手をつかみ、なんとか陸まで引っ張り上げた。
綺麗な色のワンピースは胸のあたりまでぐしゃぐしゃに濡れて台なしになってしまった。
女の子はワンピースを前にかき集めて手で絞っていた。その白い脚が目に入り、俺は慌てて後ろを向いた。
「ピアノ弾くんだね」
耳に、すんなりと入り込む不思議な声。
俺は、何故か腹の下辺りがムズムズした。
「……うん。君も弾くの?」
「弾くよ!私も今この曲練習してるんだ。素敵な曲だよね」
――ずっと聞いていたい様な声だ、と思った。何故なんだろう?初めて会った子なのに。
「素敵……なのかな」
「ピアノ嫌いなの?」
正面に回り込まれて聞かれギクリとした。
確かに、自分はそれ程ピアノが好きではなかった。
俺は曖昧に笑った。
「……君、変な顔してる」
女の子は、まじまじ俺を見つめて言った。
「えっ!?」
そんな事を言われたのは初めてだった。
内心ショックを感じながら、女の子を呆然と見つめた。
「――それはどういう意味」
訊ねようとすると、女の子は盛大なくしゃみをした。