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Love adventure
第32章 初めての夜
**
あの夜は、とても蒸し暑く、両親は不在だった。
ほなみとの仲を深める絶好の機会だったが、自分からがっつくのは控えようーーほなみの方から求めてきたら応じようと考えていたが、それはまずないだろう、とも思っていた。
「智也君、味、大丈夫かな?」
邪な事で頭を埋め尽くしていた俺は、彼女が作ってくれた食事に箸をつけないままでいたらしい。
俺は、とってつけたように笑い、謝った。
「ごめん。疲れてて、ぼうっとしてたよ」
煮物を口に含み頷きながら「美味いよ」と伝えると、ほなみは顔を綻ばせた。
「良かった。智也君のお母さん、お料理上手だから比べたらかなり劣るだろうけど……」
「母さんの料理より美味いよ」
「本当?」
まるで恋人同士か新婚夫婦のやり取りみたいだ。いや、俺達は恋人同士なのだが、なるべく甘い雰囲気にならないように今まで気を付けていたので傍目から見たら不思議なカップルだったのだろう。
ほなみはその事についてどう思っているのだろうか。
聞いてみたいが、そういう訳にもいかない。
俺から聞く勇気もないのだーー
あの夜は、とても蒸し暑く、両親は不在だった。
ほなみとの仲を深める絶好の機会だったが、自分からがっつくのは控えようーーほなみの方から求めてきたら応じようと考えていたが、それはまずないだろう、とも思っていた。
「智也君、味、大丈夫かな?」
邪な事で頭を埋め尽くしていた俺は、彼女が作ってくれた食事に箸をつけないままでいたらしい。
俺は、とってつけたように笑い、謝った。
「ごめん。疲れてて、ぼうっとしてたよ」
煮物を口に含み頷きながら「美味いよ」と伝えると、ほなみは顔を綻ばせた。
「良かった。智也君のお母さん、お料理上手だから比べたらかなり劣るだろうけど……」
「母さんの料理より美味いよ」
「本当?」
まるで恋人同士か新婚夫婦のやり取りみたいだ。いや、俺達は恋人同士なのだが、なるべく甘い雰囲気にならないように今まで気を付けていたので傍目から見たら不思議なカップルだったのだろう。
ほなみはその事についてどう思っているのだろうか。
聞いてみたいが、そういう訳にもいかない。
俺から聞く勇気もないのだーー