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Love adventure
第32章 初めての夜
「お茶煎れるね」
ほなみが席を立ち、食器棚から湯呑みを出そうとした時、外でゴロゴロと不穏な音が響いた。彼女はびっくりして手から湯呑みを落としてしまった。
「大丈夫か?」
俺は駆け寄って、散らばったかけらを拾う。
「ごめんなさい」
ほなみも身を屈めて拾おうとするが、その指が微かに震えていた。
「危ないから俺がやるよ」
「……うん」
じっと見つめられているのだろうかーー意識してしまい、破片を集める指先がドクンドクン、と脈うっている。
(目を合わせたら……抱き締めてしまう)
視線に気付かない振りをし、手早く片付けて手を洗い、ほなみから背を向けたままで俺は言った。
「ごちそうさま。寝不足だから今日はもう部屋へいくよ」
外ではゴロゴロと音がしている。
ほなみは心細い表情をしていた。
「……うん。お休み」
「お休み」
後ろ髪を引かれながら二階へ上がり、ベッドに横になったが眠れそうになかった。
雨激しく窓を打ちつけ、時折部屋の中が明るく照らし出される。
ゲリラ豪雨を思わせるような荒れた空模様だ。
ほなみは――もう部屋へ戻っただろうか。
彼女は雷が苦手だった。
女の子にはよくある話だが、彼女の場合、両親が亡くなった日に酷い雷雨だった事が関係しているのかも知れない。
怖がっているほなみに付け込んで、抱いてしまう事も出来る。
けれど、それをするのは卑怯な気がする――
ほなみの、少し潤んだ瞳を思い出し、居ても立ってもいられなくなり、俺はベッドの上で落ち着きなく何度も寝返りを打った。
ほなみが席を立ち、食器棚から湯呑みを出そうとした時、外でゴロゴロと不穏な音が響いた。彼女はびっくりして手から湯呑みを落としてしまった。
「大丈夫か?」
俺は駆け寄って、散らばったかけらを拾う。
「ごめんなさい」
ほなみも身を屈めて拾おうとするが、その指が微かに震えていた。
「危ないから俺がやるよ」
「……うん」
じっと見つめられているのだろうかーー意識してしまい、破片を集める指先がドクンドクン、と脈うっている。
(目を合わせたら……抱き締めてしまう)
視線に気付かない振りをし、手早く片付けて手を洗い、ほなみから背を向けたままで俺は言った。
「ごちそうさま。寝不足だから今日はもう部屋へいくよ」
外ではゴロゴロと音がしている。
ほなみは心細い表情をしていた。
「……うん。お休み」
「お休み」
後ろ髪を引かれながら二階へ上がり、ベッドに横になったが眠れそうになかった。
雨激しく窓を打ちつけ、時折部屋の中が明るく照らし出される。
ゲリラ豪雨を思わせるような荒れた空模様だ。
ほなみは――もう部屋へ戻っただろうか。
彼女は雷が苦手だった。
女の子にはよくある話だが、彼女の場合、両親が亡くなった日に酷い雷雨だった事が関係しているのかも知れない。
怖がっているほなみに付け込んで、抱いてしまう事も出来る。
けれど、それをするのは卑怯な気がする――
ほなみの、少し潤んだ瞳を思い出し、居ても立ってもいられなくなり、俺はベッドの上で落ち着きなく何度も寝返りを打った。